都会と田舎の二地域暮らしのバランス ~ Dual Life Balance ~ ~ 田舎の治癒力を都会のビジネスパーソンへ ~

成瀬 訓久(なりせ くにひさ) 平日は「東京で都会暮らし」、週末は「千葉の内房(鋸南町)で田舎暮らし」の週末田舎暮らし(二地域居住)をして15年。 田舎には「都会の人を癒す治癒力がある」と思います。 「都会での経済・効率優先の生活」と「田舎での原始・人間的な生活」のバランス(Dual Life Balance)を模索・追究しています。 私の試行錯誤な実践知見情報が、週末田舎暮らし(二地域居住)を検討する"忙しいビジネスパーソン"にとって役立つなら幸いです。

週末田舎暮らしの「効用」を考える

「週末田舎暮らし」を実践する前の「完全都会暮らし」の時期の自分を振り返ると、心が”イライラ”、行動が”セカセカ”していたと反省します。

平日は深夜まで仕事に追われ、土曜日は休日出勤、日曜日は翌週の仕事準備(読書・セミナー通学)みたいな生活を送っていました。その上、平日夜は、仕事上の飲み会や、相談(仕事・キャリア・人間関係etcに関する)を受けての食事会。これら仕事の他、プライベート生活(買い物・食事・遊びetc)もある訳で、日々、時間を切り刻みながら生活しつつ、「何で毎日こんなに忙しいんだ」と人生に嫌気を指す時期がありました。

現在の自分ならば、過去の自分に対し「自分の人生なんだから、他人主体では無く、自分主体で”優先すべき事を大胆に取捨選択し、選択と集中で傾斜時間配分すれば良いじゃん。。。」と助言できるのですが、当時は、「完全都会暮らし」を唯一の世界と思い込み、自らを置かれた環境に縛り、自分の時間や行動を主体選択的に意思決定出来ていなかったようです。。。

こうした完全都会生活を、抜本的に変えるキッカケとなったのが、千葉南房総エリア鋸南町での「週末田舎暮らし」でした。当初は、都会からの「一時的な現実逃避」として始めた「週末田舎暮らし」でしたが、長年継続する中で、その効用として感じるのが下記5点です。

 

1.働く意欲が沸く

週末を田舎で過ごした後の日曜夜、田舎の家から東京へ向け出発する際は、いつも少し寂しく感じます。。。と同時に「明日からの平日仕事を頑張って金曜夜までに終わらせ、土曜に、また田舎に戻ってこよう」との思いが浮かびます。これが持続継続的な働く意欲になっているようです。

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2.アイデアを思い付く

「週末田舎暮らし」では、よく散歩に出かけます。海辺の砂浜や里山の農道を何も考えずに、1時間くらい歩きます。しかし、こういう時に何故か急にアイデアを思い付く事が多々あります。余計な物が無い物質的にシンプルな田舎の自然環境に居る事が、平日に詰め込んだ雑多な情報の枝葉末節を削ぎ落とし、脳が「本質的な解答」を自動提示してくれるのかも知れません。

最近、脳科学研究の領域から、「デフォルトモードネットワーク」という言葉を知りました。以前の常識では、脳は「話しをする、本を読む」といった意識的な行動時のみ活動し、「何もせずボンヤリ」している時は休息すると考えられてきましたが、最新の研究結果では、「何もしていない時間」の方が、脳は活発に動いているそうです。積極的に考えたり行動していた時に取り込んだ情報を、脳は”まとめたり””整理したり”しているそうです。。。

とすると、、、「週末田舎暮らし」で「アイデアを思い付く」のは偶然では無く、脳科学的な必然なのかもしれません。。。

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3.心と体が健康になる

 先日、「自律神経(交感神経・副交感神経)」のバランスを計測してもらいました。「アクティブ度」と「リラックス度」のバランスが「非常に良い」との結果でした。医者からは「”平日都会暮らし”と”週末田舎暮らし”のバランスが良い影響なのでは」と嬉しいコメント頂きました。。。併せて、以前は高めだった血圧も下がりました。

思い返せば、「完全都会暮らし」をしていた頃は、週末も都会特有の緊張を感じて生きていました。朝起きて窓を開ければ、騒音は聞こえるし、買い物に出掛ければ、雑踏をかき分けて歩くし、休憩にCafeに入れば、隣席が近く、会話が丸聞こえだし。。。休日にリラックスしたいと思っての外出は、私にとってストレスになっていたようです。(ちなみに、小動物ネズミを使った医学実験でも、混雑環境はストレス反応が出る事が証明されています。。。)

では、何故、「週末田舎暮らし」によって「自律神経のバランス」や「血圧」が改善し健康になるのでしょうか? 2つあると考えます。

 

1.物理的移動

人は置かれた環境から強く影響を受けるので、いつもと同じ環境にいると同じ影響を受け続けます。都会に居れば都会特有の緊張を受け続けるのです。故に、それを回避するには、その流れをシャットダウンする事が重要との事。

普段の生活場所から離れる事が有効で、距離が遠ければ遠いほど効果があるそうですが、100kmが1つの基準になるそうです。。。

南房総鋸南町は、東京から100km程の距離なので、この基準に合致しているようです。

 

2.緑

医学的に、「緑に触れることが、人の心を癒し、健康に寄与する」そうです。

健康とは「神経系(脈拍・血圧)」「免疫系(菌に対する抵抗)」「内分泌系(ホルモンバランス)」の3つが良好に保たれる状態ですが、ストレスによって、これらのバランスが崩れ体調を崩すそうです。

緑は、人の健康状態を良好に保つ、いわば発病以前に作用するとの事。これは、実験でも証明済です。被験者を芝生地やラベンダー畑に入れ、その血圧や脈拍変化を見ると、改善結果が出るのです。

田舎は、草木の緑だらけなので、健康を誘引するようです。

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4.視野が広がる

「平日都会暮らし」で様々なストレスを受けて疲弊し弱気になったとしても、「週末田舎暮らし」で、海や山や田畑を眺めて自然に触れたり、草木の緑や香りを感じたり、鳥のさえずりを聞いたり、地元の方と何気ない会話をしたりしていると、自分を俯瞰・客観的に見れ、「都会暮らし」でのストレスや嫌な事は「タコ壺の中の小さな世界の出来事で、大した事では無いな」と感じ、回復力を得る事が出来ます。

これは、私が都会と田舎の双方に身を置いているからこその「一歩引いた視野拡張」だと思います。

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5.小さな達成感を得る

「平日都会暮らし」の主となる仕事は、成果が出にくく、達成感を味わえる機会に中々巡り合いませんが、「週末田舎暮らし」では、小さな達成感を味わう事が出来ます。

 

1つ目は草刈りです。田舎暮らしでは、庭そして家に隣接する農道や耕作放棄地に”ボウボウ”と生えた草木を、大汗をかきながら、エンジン刈払い機やチェ-ンソーで刈る事が日常です。キレイに刈り上げた土地を見つつ、ビールを飲むと「ひと仕事終えた」達成感に浸れます。

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2つ目は果樹です。庭に植えた夏ミカンの木が、初冬になると”たわわ”に身を付けます。年1回の事ですが、これを収穫する時も、小さな達成感があります。

達成感は、人が生きる上での燃料だと思います。。。

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以上の上記5つが、私が感じる「週末田舎暮らし」の効用です。 

過去の私のように、「完全都会暮らし」に疑問を抱き、「週末田舎暮らし」に興味を持つも、実行に踏み出せない"忙しい"ビジネスパーソンにとって、上記の効用情報が、一歩を踏み出す「背中押し」に役に立てば幸いです。