都会と田舎の二地域暮らしのバランス ~ Dual Life Balance ~ ~ 田舎の治癒力を都会のビジネスパーソンへ ~

成瀬 訓久(なりせ くにひさ) 平日は「東京で都会暮らし」、週末は「千葉の内房(鋸南町)で田舎暮らし」の週末田舎暮らし(二地域居住)をして15年。 田舎には「都会の人を癒す治癒力がある」と思います。 「都会での経済・効率優先の生活」と「田舎での原始・人間的な生活」のバランス(Dual Life Balance)を模索・追究しています。 私の試行錯誤な実践知見情報が、週末田舎暮らし(二地域居住)を検討する"忙しいビジネスパーソン"にとって役立つなら幸いです。

「週末田舎暮らし」と「関係人口」

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最近、「関係人口」という言葉を見聞きする機会が増えてきました。

「地方創生・地域活性化・移住」等に関連する記事やニュースで、この言葉「関係人口」とちょくちょく出会うのです。

記事やニュースの文脈から、「関係人口」をザックリ定義すると、こんな感じです。

「ある地域のファンになり、居住せずとも、その地域に関係し、応援する人」。

 

気になったので、「関係人口」をGoogle検索してみました。

地方創生の「注目キーワード」になりつつあるようです。

検索結果例として下記があります。「関係人口」は、既に国の政策にも反映されています。

注目キーワードの「関係人口」。週末田舎暮らし実践ビジネスパーソンの立場から概観してみました。

 

1.関係人口とは

ソーシャル&エコ雑誌「ソトコト」の編集長 指出一正 氏は、著書「ぼくらは地方で幸せを見つける」の中で、「関係人口」を分かり易く述べているので、下記引用します。(出所:P219)

地域経済の活性化戦略のひとつに、「定住人口」「交流人口」というキーワードがあります。その地域に住んでいる人を「定住人口」と呼ぶのに対し、地域外から旅行や短期滞在で訪れる人のことを「交流人口」といいます。これまでは、このふたつのどちらに政策の重きを置くかということが行政の視点でした。ところが最近、どちらにも当てはまらない新しい人口が生まれています。「関係人口」といわれるものです。

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また、ローカルジャーナリストの田中輝光 氏は、著書「関係人口を作る」の中で、もう少し広い範囲で問題意識も含めて述べているので、下記に引用します。(出所:P6~8)

関係人口こそが、本格的な人口減少時代を迎えた日本社会=縮小ニッポンを救う新しい考え方であり、地方の新しい戦略になりうると、信じているからです。関係人口という考え方が広まることで、社会がより良くなる。

これまでは、地域を元気にするためには、その地域に住む「定住人口」を増やすか、短期に訪れる「交流人口」を増やすか、ということが大事だとされてきました。最近は特に、定住人口を増やす競争が盛んになっています。

しかし、日本全体の人口が減る中で、地域間で定住人口の奪い合いをしていても、疲弊するだけだと思いませんか?どこかが増えれば、どこかが減るのです。

<略>

たとえ住んでいなくても、地域を元気にしたいと思って実際に地域を応援し、関わる仲間が増えれば、地域は元気になる。

そうです。こうやって地域に多様に関わる人々=仲間こそが、関係人口です。

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2.関係人口を増やす階段

国土交通省の国土専門委員会(2017年9月26日)にて、明治大学の小田切教授は、「関係人口論とその展開」の中で、関係人口は下記図の領域であり、関わりの階段は”濃淡のある”「5段階」あると述べ、「階段の段差を低くする」政策の必要性を提案しています。(出所:P6)

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近年、政府の地方創生の掛け声と予算の下、多くの地方自治体は定量目標として移住転入人口数を目標に掲げ、各種の移住者特典を設けて、自らの自治体へ転入するよう、横並びの競争をしてきましたが、こうした「プレゼント」付き移住施策に、明確な効果があったとは聞こえてきません。「物事には順序が必要」といわれますが、「無関係者」を一飛びに「移住者」にするのは無理があるようです。

 

ちなみに、プロ経営者の原田泳幸 氏は、著書「成功を決める順序の経営」で、「順序の重要性」を述べています。地域の活性化策においても忘れてはならない「本質」だと思います。(出所:P19、P54)

経営の本質を端的に言えば「順序」である。企業を立て直す際の打ち手は限られている。だが、打ち手の順序を間違えると、その戦略は空論で終わる。

<略>

大切なのは「シーケンス(順序)」です。土台が無ければ柱は立たないし、柱が無ければ壁は張れません。ある戦略を実行するためには、その戦術が実行できるための環境を整えなくてはならない。パズルを一つひとつ組んでいくように、戦略実行のシーケンス(順序)を考えるのが経営戦略というものです。

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3.関係人口に至る私の実例

上記の5階段を、私に置き換えると、順序は下記となり例外になります。参考にならないかもしれませんが、共有しておきます。

  • 第3段:頻繁な訪問
    幼少期、私の実家は、毎夏7~8月の間、千葉内房鋸南町に住む知人農家の離れの古家を借りていたのです。なので、私は、子供の頃から、鋸南町を頻繁に訪問する環境が所与としてありました。
     
  • 第0段:週末田舎の家探し
    社会人として地方勤務を経て東京に戻り、自分の進む道が何となく見え始めた30才頃に、東京から2時間以内で通える田舎を関東圏で探しました。
     
  • 第4段:ニ地域居住
    最終的に、馴染みがあった鋸南町で古家を購入し、週末田舎暮らしを始め、今に至っています。
     
  • 第5段:移住
    将来的には、東京と鋸南町の半々生活を送りたいと考えています。状況次第では、鋸南町が主で、用事があるに東京へ通う「逆 ニ地域居住」が出来ればと妄想しています。

 

 

4.関係人口を増やす私案と順序

個人的には、関係”人口”を増やす策として、下記5段階を考えます。

  1. 観光人口を増やす
  2. リピート訪問人口を増やす
  3. 週末田舎暮らし人口(ニ地域居住人口)を増やす
  4. 地域ファンの人的な連結ネットワーク人口を増やす(地域と都会の両方で)
  5. 関係”法人”を増やす(地域ファンとして「地産”都”消(=地域の産物を都会人で消費する)」活動を応援してくれる都会企業を、地域と繋げる)

今後、私自身は、週末の拠点である「千葉内房鋸南・金谷エリア」にて、微力ながら、「3」「4」「5」に取組む事で、地域の関係人口を増やし、地域に貢献出来ればと考えています。時間がかかること承知の上ですが、実現の為の策を1つ1つ具現化していこうと計画しています。

 

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以上。「週末田舎暮らし」と「関係人口」でした。

週末田舎暮らしに興味があったり、将来的な移住を検討している、多忙なビジネスパーソンにとっては、まずは、気に入った地域のファンとして関係人口になるのが、負担が少なく、実現に向けた第一歩として良いのかもしれません。。。