都会と田舎の二地域暮らしのバランス ~ Dual Life Balance ~ ~ 田舎の治癒力を都会のビジネスパーソンへ ~

成瀬 訓久(なりせ くにひさ) 平日は「東京で都会暮らし」、週末は「千葉の内房(鋸南町)で田舎暮らし」の週末田舎暮らし(二地域居住)をして15年。 田舎には「都会の人を癒す治癒力がある」と思います。 「都会での経済・効率優先の生活」と「田舎での原始・人間的な生活」のバランス(Dual Life Balance)を模索・追究しています。 私の試行錯誤な実践知見情報が、週末田舎暮らし(二地域居住)を検討する"忙しいビジネスパーソン"にとって役立つなら幸いです。

人生100年時代。週末田舎暮らしの「未来?」

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今週、最新の『人口推計』と、ベストセラー本『ライフシフト ~100年時代の人生戦略~』を読んでみました。そこで、「人生100年時代。週末田舎暮らしの『未来?』」について想いを馳せてみました。

 

結果、将来的な田舎暮らしの主流は、下記に変わっていくのではないかとの仮説に至りました。

 

【現在の主流 】 都会で定年退職した後に、地方へ移住しての田舎暮らし 

   ↓↓↓

【将来の主流 】 都会で生涯現役で働きつつ、併行しての週末田舎暮らし

 

将来的な「週末田舎暮らし(二地域居住)」や「移住」を検討するビジネスパーソンとって、意思決定の参考情報になれば幸いです。

1.最新の『人口推計』

今週、2つの人口推計が公表されました。

1つは「直近の人口」、もう1つは「将来の人口」です。

多くの課題が山積する未来。高齢化の「負の側面」を推察させる内容です。

各々の人口推計の概要を下記します。

 

(1)直近の人口推計(2016年10月1日時点の人口。総務省、4月14日公表)

 ・総人口は、1億2,693万3,000人(前年比 ▲16万2,000人。6年連続の減少)

 ・生産年齢人口(15~65歳未満)は、約7,656万人(前年比▲72万人)

 ・高齢者人口(65歳以上)は、約3,459万人(前年比+72万人)

 ・高齢者人口の割合は、27.3%(過去最高)

 ・子供(15歳未満)の割合は、12.4%(過去最低)

 

(2)将来の推計人口(2065年までの今後50年間の人口。厚労省、4月10日公表)

 ・世界でも類を見ない高齢国家への道

 ・働き手である生産年齢人口(15~65歳未満)の大幅減  

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【出所:日本経済新聞 2017年4月11日 朝刊】

  

 

2.本『ライフシフト ~100年時代の人生戦略~』

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「2007年に日本で生まれた子供の50%は107歳まで生きる」「いま50歳未満の日本人は100年以上生きる100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい」と述べられています。長寿化の恩恵である「正の側面」に目を向け、個人・家族・企業・社会の広範について論じています。

 

 

3.田舎暮らしの主流が、週末田舎暮らしになるとの仮説に至った根拠

(1) 生涯現役労働

将来推計人口を見る限り、生産年齢人口(15~65歳未満)が減少するのは明らかであり、ロボットやAI(人工知能)が業務代替する可能性はあるとしても、現時点では人手不足が懸念されています。官民一体で65歳以上の健康人材の活用を前向きに検討されています。 

 

また、100年人生を前提とした場合、老後の生活費を全て年金でまかなう事は、財政上、現実的で無い事、ご既知の通りです。健康に生きている限りは、「働いて金を得る」生活が続く事を前提として人生を組み立てる必要が事、近年、多々提言されています。

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本「ライフ・シフト」によれば、今までの人生のステージは大きく3つに分けられていました。それは「教育のステージ」「仕事のステージ」「引退のステージ」です。しかしながら、人生100年時代を前提とした場合、「引退生活」が長すぎて、大きな問題が生じるのです。そこで、人生スタイルを「(二者択一や画一的な)3ステージ」から脱却し、「(複数の選択や移行機会を持つ)マルチステージ」な新しい生き方・働き方を提言しています。

週末田舎暮らしは、「マルチステージ」な生き方の有力な選択肢の1つとなると思います。

 

(2) IT化社会による自然回帰

スマホSNSの浸透により、人々は、リアルに会わずとも瞬時に「いつでもどこでも」コミュニケーションを取れるようになりました。

 

また、「いつでもどこでも」大量の情報に接する事が出来ます。仕事の連絡は、24時間×365日、スマホに入ってきて、休日・早朝・深夜に関わらず対応する日常へと変わりました。

 

生活のオンとオフは着実に溶解していきます。(在宅勤務などが可能になって、自分時間が増える等の良い側面も多々ありますが。。。)

 

今後は、AI(人工知能)・ロボット・IOT(モノのインターネット化)など、ITの更なる進展と浸透が進みます。

 

そんな環境下、定年退職を待たずに現役時代から、週末は都会から離れて自然環境の中で過ごしたいという自然回帰の想いを持つ人が増えていく気がします。「情報の断捨離」や「精神のバランス取り」の場・時間を、人生の中で意識的に配置するようになるのです。

 

(3) 不動産価格の下落

人口減少に伴い、空き家が増加し、住宅不動産価格の下落が見込まれています。

 

既に顕在化している地方圏の住宅不動産価格のみならず、

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将来的には都市圏での価格も下落するとの予測です。

主な理由としては下記が挙げられています。

 

①人口減少

人口増加が続く東京も、2025年の1,398万人をピークに人口減少が始まります。

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②空き家増加&中古住宅の大量放出

2022年以降、団塊世代(1947年~1949年生まれ)が後期高齢者(75歳以上)となり、介護施設へ入居する人や亡くなる人が増える事で、都内の一軒家やマンションも主(あるじ)を失い、空き家が増加し、中古住宅が大量放出されるとの予測です。

 

東京オリンピック(2020年)を見込んだ投資マネーの引き上げ

価格上昇が続いてきた東京のマンションの価格形成の一因は、価格高騰を期待する投資マネーの仕業であり、オリンピックを前に、しぼんでいくとの見立てがあります。

 

こうした現象は、「週末田舎の拠点」と「平日都会の拠点」の双方の住まい調達価格(購入or賃貸)の低減を意味し、週末田舎暮らしの実現ハードルを下げます。

 

(※ちなみに、「空き家問題」については、以前に下記を記してます。。。)

narise.hatenablog.com

 

(4) 長寿人生を楽しく豊かにする複数の趣味

仮に、現在の定年引退年齢を65歳とすると、100年人生では、人生の2/3を経過したに過ぎず、残り35年もの膨大な時間があります。憧れだった「悠々自適な毎日が日曜日」が35年も続く事を想像すると、「ゾッ」とすると思います。

 

そのような「のんびり生活」は医学的にも良くないそうです。本「老いるほど血管が強くなる健康法」によると、「のんびり生活」は、自律神経の閾値を下げ、感動が無くなり、気持ちが沈みます。特に、副交感神経の低稼働により、達成感や満足感を味わえないとの事。交感神経が刺激されるような体験をすれば、副交感神経も働き、満足感や感動を味わえます。感動は健康に良いだけでなく、人生を豊かに充実させます。そして、大好きな1つの趣味を追求するのではなく、「心を動かす」様々な分野の趣味を併行する方が、自律神経にとっては良く、「気持ちの大崩れ」を回避出来るそうです。

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複数の趣味は、いきなり見つかり・出来るものではありません。時間をかけて見つけ、1つ1つ積み上げていくものです。それには、趣味を定年退職後の楽しみにするのではなく、現役時代の今から、すぐに「探し・始め・備え」る必要があります。

 

私は、都会と田舎の双方の生活を加味した「下記の4象限」で趣味を構成していく事を決めました。

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(5) 田舎の公共交通インフラの貧弱化

私の週末田舎暮らし拠点である千葉内房鋸南町。公共交通は限られ、そのインフラは人口減少と共に、下記の通り、着実に貧弱化しています。

田舎生活するには車が必須です。しかしながら、定年退職後の高齢移住では、車の運転事故リスクが増します。高齢者による運転事故増加に伴い、免許更新のハードルは高まり、結果として交通弱者になる可能性があります。

 

①バス

町営の循環バスが2ルート5便/日ずつ運行しています。停車駅は限られ、駅間は遠く、移動手段をバスだけに頼る生活は難しいと思われます。(循環バスはこちら

 

②タクシー

昔は、保田駅前にタクシー会社があり、駅前には2~3台が待機、駅と自宅間の移動に利用出来ましたが、今は会社が撤退した為にありません。隣駅の安房勝山のタクシー会社から迎車手配する必要があります。

 

③JR内房線

利用者数の減少と共に、ダイヤ改正の都度、減便されています。鋸南町保田駅については、上り下り各々1時間に1本程度。そして平日の特急「さざなみ」は無くなり、東京への電車アクセスはかなり悪くなりました。(ダイヤ改正こちら)(保田駅の時刻表はこちら

 

 

以上。「人口推計」とベストセラー本「ライフシフト ~100年時代の人生戦略~」を読んで仮説した「人生100年時代。週末田舎暮らしの『未来?』」でした。。。