都会と田舎の二地域暮らしのバランス ~ Dual Life Balance ~ ~ 田舎の治癒力を都会のビジネスパーソンへ ~

成瀬 訓久(なりせ くにひさ) 平日は「東京で都会暮らし」、週末は「千葉の内房(鋸南町)で田舎暮らし」の週末田舎暮らし(二地域居住)をして15年。 田舎には「都会の人を癒す治癒力がある」と思います。 「都会での経済・効率優先の生活」と「田舎での原始・人間的な生活」のバランス(Dual Life Balance)を模索・追究しています。 私の試行錯誤な実践知見情報が、週末田舎暮らし(二地域居住)を検討する"忙しいビジネスパーソン"にとって役立つなら幸いです。

週末田舎暮らしが「空き家問題」を軽減する!?

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週末の拠点がある千葉の内房南房総エリア。散歩やドライブしていると、空き家・空き別荘を見かけます。その数は年々増え続けており、建物の傷みが進んでいます。

 

最近、新聞やニュースで見かける「空き家」問題。その現実は着実に進行しているようです。統計数字(2013年)を見ると、空き家数:820万戸(空き家率:13.5%)で、確実に増加しています。更に、将来予測を見ると、その増加ペースは上昇し、2018年には、空き家数:1,076万戸(空き家率は16.9%)、2033年には2,147万戸(空き家率は30.2%)になるとのこと。

 

私の週末田舎暮らしの拠点は、築45年の木造平屋の家で、空き家を改修したものです。15年前(築30年の時点)に水回り(トイレ・風呂・キッチン)をリフォームしたので、不便無く、機能的な普通の生活が出来ています。

 

私の実体験から、空き家は、週末田舎暮らしの家に転用する事で、有効活用出来ると考えます。但し、使用者1名(1家族)のみで、空き家の改修投資を負担し、少稼働日数を専用するのは、金銭負担が大きいと思います。そこで、空き家を複数人で共用できる安価な「シェア型セカンドハウス」にするのです。こうした取組みが拡がれば、下記の3者善(空き家オーナー・都会使用者・地域)をもたらすと、私は仮説します。

 

1.空き家オーナーにとっての善

(1)家賃収入が入る
空き家の状態では、維持管理費のみ負担するマイナスの「”負”動産」ですが、シェア型セカンドハウスとして、複数の使用会員が付けば、収益を生むプラスの「不動産」になります。

 

(2)投資無しで資産価値が上がる
空き家をシェア型セカンドハウスに転用するには、改修投資が必要です。しかしオーナーが全額投資するのは大変です。そこで、クラウドファンディングで告知、使用会員を募集し、改修投資金を集め、会員の意見を聞きながら、会員と共に改修して行くのはどうでしょう。会員にとって愛着物件になること間違い無しです。資産価値も向上します。

 

(3)IT活用による管理軽減
スマートロック(スマホで家の入口鍵を操作したり、入退室履歴を管理できるデバイスとアプリ)を活用したり、スマホで見たり聞いたり出来る監視カメラ等、IOT(モノのインターネット)を活用する事により、管理負担は大幅に軽減出来ます。 

 

2.都会使用者にとっての善

(1)少ない金銭負担で週末田舎暮らしを実践可
田舎の家の売買価格や賃貸価格は安いと云えども、週末や大型連休時だけ滞在する少稼働日数を考えると、その負担は少なくはありません。(※参考:週末田舎暮らしと「お金」について考える) また、サラリーマンの平均年収は1997年を頂点に下降し続けている事から、お金についてはシビアに考えざる負えません。

その点、空き家を活用した「シェア型セカンドハウス」を複数会員で共用すれば、少ない金銭負担で実践出来ます。

(2)脳疲労・ストレスの軽減
うつ病の患者数が急増している現代。統計上の患者数は、1996年:43万人 ⇒ 2014年:112万人と、2.6倍に増加しているそうです。

うつの原因は様々ですが、その1つとして、脳疲労とも強い相関があるそうです。現代人の脳は1日に18.7万項目もの思考を続けており、脳疲労している事が多いそうです。本「すべての疲労は脳が原因(梶本修身)P147-148」によると、脳疲労を軽減するには自律神経の副交感神経を優位にして脳と体の活動を休息モードにする必要があり、「森林」や「水際」が効果有るそうです。「森林浴」では「樹木が発する香り成分」が、「(ビーチ・川・滝の)水際」では「水の細かいしぶきから発するマイナスイオン」が、リラックス効果をもたらし、脳疲労が軽減するそうです。
「森林」も「水際」も田舎生活の中心です。都会人の「脳」と「心」の健康に大変有益だと思います。

 

3.地域にとっての善

(1)経済
都会人がシェア型セカンドハウスに来れば、その地域で消費します。飲食店で食事はするし、店で買い物するし、観光もします。そもそも、空き家をシェア型セカンドハウスに転用するには改装工事が必要です。地域の建築系業者(工務店・水道工事・電気工事・造園etc)にもお金が落ちます。

 

(2)野良仕事(草刈り)の労働力確保
田舎地域の人口高齢化により、「相互扶助」的に成り立ってきた生活環境維持が不可能になってきています。私の家の周りでも、農道が雑草で覆われて車が通行し難かったり、耕作放棄地の草木が荒れ放題で、獣が人間の生活圏まで下りてきて、獣害が多発しています。そこで、都会からのシェア型セカンドハウス使用者の出番。労働力を提供するのです。草刈りや木の伐採は、田舎生活には必須です。滞在時は、家の周辺の草刈りをするのです。都会人にとっては新鮮な体験です。作業に夢中になって、平日の仕事を忘れる事が出来る利点もあります。

 

 

以前、TVドラマ「ガリレオ」で、物理学者の湯川教授(=福山雅治)が、「仮説は検証して初めて真実になる。」と述べていましたが、私も上記の仮説を「隗より始めよ」の精神で、自らが自らの物件で少しずつ試行していこうと思います。家のリノベーション工事・庭や裏山の整備・隣接する耕作放棄地の果樹園化etcを進め、週末田舎暮らしに興味有る人に、"生"の実態を「見て・体感」してもらえる場に、昇華して行きたいと考えています。

 

以上、週末田舎暮らしが「空き家問題」を軽減する!?、私の仮説でした。。。