週末田舎暮らしと「住まい」について考える
週末田舎暮らし(二地域居住)に興味を持つビジネスパーソンからの質問で多い内容は、「①時間、②金、③住まい」です。前々回は「①時間」について、前回は「②金」について記しました。
今回は「③住まい」について、私の取組みを共有したいと思います。
大きく下記3つに分けて述べます。
1.平日都会暮らしと週末田舎暮らしの定義を設定
2.平日都会暮らしの住まいを考える
3.週末田舎暮らしの住まいを考える
1.平日都会暮らしと週末田舎暮らしの定義を設定
住まいを考える前に、まずは、「平日都会暮らし」と「週末田舎暮らし」の、自分なりの定義を定めました。
各々に対して思い浮かぶ単語を整理構造化していった結果、私にとっての「平日都会暮らし」とは「経済・効率優先の生活」、「週末田舎暮らし」とは「原始・人間的な生活」、と行き至りました。
併せて、自らに対して、あえて振り切ったメッセージも設定しました。それは「平日都会暮らしは、週末田舎暮らしの為の出稼ぎだ!」です。
定義は各人様々ですが、ここがしっかり自分に「腹落ち」していないと、先々「迷ったり」「ブレたり」する事になります。週末田舎暮らし用の住まいを探しで「ワクワク」する前に、一度立ち止まって、冷静に、定義やコンセプトを明文化し、そもそもの土台や目指す処を確認する事をお勧めします。こうした考えは、ビジネスパーソンにとって、企業や事業での取組みと同じなので、馴染みがあるかもしれませんね。。。
2.平日都会暮らしの住まいを考える
自らが設定した「平日都会暮らし」の定義に基づいて、住まいを改善・整備していきます。
私の定義は「経済・効率優先の生活」なので、それを実現するよう、都会での「住まい」を少しずつ改善・整備してきました。
私は、賃貸マンションに住んでいますが、「経済・効率」の観点から物件を選択しています。「経済・効率」が向上する物件を見つけた際に、引っ越してきました。
今の物件は、南房総の家に向かう際の首都高入口も車で5分の距離にあります。また、生活インフラ(駅・コンビニ・スーパー・ファミレス・ジムetc)は、徒歩1~5分圏に揃っている為、非常に効率的に暮らせます。
週末2日間を田舎でゆっくりと過ごすには、平日の5日間を都会で体力消耗する事無く過ごせる生活環境を整備出来た方が尚良いです。
週末田舎暮らしを考える際は、その機に併せて、いつもの平日都会暮らしも再考してみる良い機会だと思います。
3.週末田舎暮らしの住まいを考える
(1)エリア選び、(2)家選び、(3)投資的観点 の3つを記します。
(1)エリア選び
週末毎、継続的に、田舎の家に通うには、「住まい」選びの前に、「エリア」選びが重要です。
景観等で非常に気に入った土地でも、都会からの移動が「遠かったり」「渋滞したり」「長時間かかったり」「雪道が凍結して運転に神経を使ったり」すれば、徐々に、田舎の家へ通うのは面倒になってきます。
一般住宅の空き家のみならず、セカンドハウスの空き家も増えていると、肌感覚で感じます。夢のセカンドハウスを建てる迄は夢中なのですが、いざ、家が完成すると、週末毎の「移動」や「家の清掃・手入れ」等が面倒と感じ、セカンドハウスから遠のいていく人が多々います。高齢化社会により、別荘オーナーも高齢となり、気力・体力が衰える「人口の構造問題」にも起因していると思います。
ちなみに、私が「千葉の内房エリアの鋸南町」を選択した理由は下記2要件に合致したからです。エリア選定において、この2要件を設定した事は正しかったと、今でも確信しています。
■要件①:都会から車で1.5時間以内の場所
千葉の内房エリアの鋸南町は、車で1時間10分。高速バスで1時間25分。JR特急だと1時間55分です。車で1時間10分なら気軽に都会と田舎を通う事ができます。
ちなみに、館山自動車道は、2017年8月に、君津IC~竹岡IC間が4車線化されます。鋸南町と東京との車移動時間は1時間を切ります。
東京まで1時間以内なら、もう通勤圏です。極論ではありますが、もし、経済や環境の危機等で、都会の賃貸マンションを退居したとしても、田舎の持ち家から東京への通勤も十分に可能です。こうした環境は生きる上での精神的な余裕に繋がります。
■②複数の交通ルートがある
千葉の内房(鋸南町)は、アクアラインで川崎を経由して東京へ向かうルートと、京葉道路で千葉を経由して向かうルートがあり、片方が通行止めになっても東京と繋がります。公共交通としての高速バスやJR内房線もあります。いつでも、どんなルートでも、東京へ戻れる立地は、都会で働くビジネスパーソンにとって安心感に繋がります。
(2)家選び
かって、田舎暮らしをするには、土地・家を購入する必要がありました。
しかし最近では、様々な選択肢が増えてきました。まだまだ具体的な選択肢は少ないものの、田舎でも「所有から使用」への波が着実に来ています。
思い付く選択肢を下記に列記します。
忙しいビジネスパーソンにとって、週末田舎暮らしの為の「失敗」や「遠回り」は絶対に回避したいもの。。。これらの選択肢を活用し、時間軸で組み合わせながら、徐々に「使用→所有」へとステップアップし、最終的には、自分だけの週末田舎暮らし「住まい」を所有するのが良いのではと思います。
【賃貸】
一般住宅、古民家、アパート、長期の貸し別荘、クラインガルテン(滞在型市民農園)、シェアハウス、(自治体等が提供する)田舎暮らしお試し住宅 etc
【保有】
新築住宅、中古住宅、古民家&リノベ、小屋、シェア別荘、リゾートマンション etc
(3)投資的観点
私の場合、中古住宅を1,000万円で購入しました。土地220坪・建物35坪の平屋(現時点で、築45年)。土地代が900万円(4万円/坪)で、建物代が100万円です。
意思決定の背景を共有させて頂きますので、もし、最初から田舎の家を購入する方がいたら、こうした側面も検討してみるのも良いかもしれません。
【購入予算額の設定】
購入予算額は、1,265万円と設定しました。計算式は下記です。
5,500万円(東京都心のマンション購入平均価格) ✖ 23%(田舎で過ごす年間の日数割合)= 1,265万円
【土地価値向上の可能性】
私は、荒れ果てた土地(220坪)を坪4万円で土地を購入しましたが、近隣の整地された別荘用土地は、10万円/坪で売買されていました。
私は、当初、草刈り機やチェーンソーを買い、敷地内を整備しました。そうすれば、土地の価値を向上できると考えたからです。ボウボウの草木が無くなれば、家のテラスから海を見下ろす事が出来、景観は近隣の別荘よりも格段に良い事が分かったので、将来の買い手(別荘購入検討者)を対象に、「土地+景色代」で価値向上が出来ると考えました。更に、近隣の別荘同様に、「駐車スペース」を設けて利便性を向上させれば、その価値向上の実現性は真実味を帯びると思いました。
そこで、私の個人的な試算(希望を含めて、、、)として、土地の潜在的な価値を、10万円/坪 ✖ 220坪 = 2,200万円と設定しました。
そして、今後のリノベーション予算額を下記式にて算出しています。
潜在価値2,200万円 ー 当初の購入価格1,000万円 = 残1,200万円
今回、駐車スペース工事に▲200万円を使ったので、残り予算は1,000万円。
極力、この金額内で、建物のリノベーション工事を実現したいと考えています。
そうすれば、全ての投資支出が、潜在価値内で収まり(理想ですが、、、)、週末田舎暮らし用の「住まい」を保有するリスクを軽減出来ると考えるからです。。。